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備前焼は1000年を超える歴史があり、日本最古の焼物のひとつと言われます。 焼物は、おおまかにいえば二種類に分かれ、ひとつが陶器でもうひとつが磁器です。 備前焼は陶器で俗に「土もの」といわれます。その名のとおり、土からできている ために水が染み出しやすいのですが、備前焼は岡山県独特の「ひよせ」といわれる 粘土を高温で焼き固めるので決して水漏れしません。 日本最古の焼物のひとつに山口県の萩焼きがありますが、水漏れしないように 回りをガラス質の釉薬(ゆうやく)といううわぐすりを塗ってから焼いています。 備前焼は、松の木を用い、1200度を超える高温で7日から15日かけて焼上げ るために釉薬を塗らなくてもいいのです。そのかわり手間がたいへんです。 備前焼の魅力のひとつは、ほぼすべての器に銘(サイン)が入っていることで、裏 返せば誰の作品なのかがわかることです。 これは、焼く手間がたいへんで大掛かりなために、共同でひとつの窯に器を入れる ときに、器を間違えないように各人が自分のサインを入れるようにしたからといわ れています。作った人によって個性があり、それを味わうのがタニシみのひとつで す。 しかし備前焼の最大の魅力は、やはりその素朴な外見と肌触りでしょう。 松の木を燃やして焼くと、灰が器に降り注がれ、それが高温で溶けて器の表面に定 着して自然の釉薬となり残ります。これを「景色」と呼んで味わいますが、100 個つくれば全て模様が異なり、どれひとつとして同じものは存在しません。あなた が持っている備前焼は、世界でただひとつの「作品」なのです。 備前焼は、灰のつき方により、胡麻(ゴマ)といったり、桟切(サンギリ)といっ たり、はたまた火襷(ヒダスキ)といったりしてそれぞれ特徴を持っています。 ゴマは文字通り灰が細かい粒粒のゴマのようにかぶさったもので、外見はざらつい て見栄えは良くないようでも、手に持ったときの肌触りがよく、備前焼のぐい飲み で酒を飲むときの感触は最高です。 サンギリは土の表面の色が変化したもので、器に灰がかぶさって十分な酸素が行き 渡らないために表面が酸化還元してできるといわれています。 発色は、白っぽいものや、暗灰色や青色などさまざまです。 ヒダスキは器同士のくっつきを防ぐためにワラを巻くのですが、そのワラが器につ いて燃えたときにできる筋状の模様です。 ゴマやサンギリと異なり、あざやかな赤っぽい色をしているので、比較的薄い色の 土によく映えます。最近は松の木でなく電気釜でもつくられていますが、多少作為 的とはいえ、なかなかきれいな文様で人気があります。 備前焼の魅力を味わうには、やはり酒器がいちばんです。 手でその感触を味わい、目でその景色を味わい、飲んで酒を味わい、そのあと裏返 して作者を知り、その意図を味わう。私は備前焼に注ぐ日本酒は冷でそれもあまり 冷やしすぎない常温がいいと思います。できれば濁り酒が備前によく合います。 そして今夜も備前焼に乾杯!    戻る